文藝


【第五四回文藝賞発表】
◎受賞作
若竹千佐子「おらおらでひとりいぐも」(182枚)
だいじょぶだ、おめとおらは最後まで一緒だから――オラダバオメダ、オメダバオラダ。ジャズのセッションのように身体の内から外から湧き上がる声。夫の死、疎遠な息子と娘……悲しみの果てに桃子さんが辿り着いたのは、圧倒的な自由と賑やかな孤独だった――比類なき若々しさで描く老いの境地。63歳の新人、驚異のデビュー作。

◎ 選評
斎藤美奈子「「私のことだ」と思わせる」
藤沢周「「自由」と「意欲」」
保坂和志「一番若々しい作品」
町田康「選評」

受賞の言葉
選考経過
第五五回文藝賞応募規定

◎ 受賞記念対談
保坂和志×若竹千佐子「人の心は一色ではない」

【連作一挙掲載】
温又柔「空港時光」
羽田⇄台北、越境の人生群像――国を越え、言語を越えて人々の思いが交差する場所、空港。家族、恋人、友人たちをめぐり、世界へ、そして未来へと開かれた10の物語。気鋭による連作一挙掲載。

【文藝賞受賞第一作】
町屋良平「水面」(156枚)
男メンヘラ、恋路をゆく!?――冬実、セリナ、心佳――岳文が恋に落ちるのはいつも一瞬、そして全力。『青が破れる』で鮮烈なデビューを飾った著者による、自意識全開&限界の恋愛小説。

【創作】
坂上秋成「獣を見たらすぐに撃て」(204枚)
「わたしたち」は、想像する。――アルバイトの日々(&ごくたまに声優の仕事)に追われる「わたしたち」の前にはいつも、声優業界のトップ・三瑚神アラハがいた。彼女は理想か空洞か? 現代の「個」の真相に挑む。

山下紘加「水に光る」(112枚)
穏やかな、野川の水面を流れゆくもの――濃密な母と娘との関係性を前に、ただ異物のように通り過ぎていく男たち。淡々と移ろう時間を繊細な筆致で描く。

長野まゆみ「カムパネルラの恋」
新説 銀河鉄道の夜*賢治の化身はカムパネルラ――文語詩に書かれた賢治の生涯「四つの恋」。その第二の恋の真相を、詩人中原宙也が探偵した結果、作者の化身はジョバンニであるという常識が覆った!

【特別対談】
古川日出男×町田康「芸術から芸能へ――一千年前の読者にも読ませるために」
二人の作家はなぜ、小説で中世世界を探求するのか? 日本文学の根底に迫る刺激的な対話。

【創作】
青山七恵「辰年」
片岡義男「大根おろしについて思う」
川﨑大助「お日様なんて出なくても」
小谷野敦「ナディアの系譜」

【特別エッセイ】
イーユン・リー/篠森ゆりこ=訳「友よ、私の人生から、あなたの人生を生きるあなたに書き送ります」

【短期集中連載 完結】
橋本治「爺(じじい)は悩み婆(ばばあ)は嘆く 書替耄碌(かきかえおいぼれ)ハムレット」第三夜

【エッセイ】
綾屋紗月「私と私の二人暮らし」
間室道子「カク・ヨム・ウル・デル日記」

【連載小説】
最果タヒ「パパララレレルル」第二回
津原泰水「夢分けの船」第六回
絲山秋子「夢も見ずに眠った。 東へ走る猪」連作第八回
恩田陸「灰の劇場」第十六回
町田康「ギケイキ」第十九回

【連載】
横尾忠則×保坂和志×磯﨑憲一郎「アトリエ会議」二〇一七年九月十一日
湯川豊「大岡昇平論」第四回 推理小説と裁判小説

【書評】
温又柔『真ん中の子どもたち』 [評者]東山彰良
金子薫『双子は騾馬に跨がって』 [評者]鴻巣友季子
最果タヒ『愛の縫い目はここ』 [評者]神田法子
アメリア・グレイ/松田青子=訳『AM/PM』 [評者]ミヤギフトシ
滝口悠生『茄子の輝き』 [評者]武田砂鉄
坂口安吾=言葉/野村佐紀子=写真『Sakiko Nomura:Ango』 [評者]五所純子
海猫沢めろん『キッズファイヤー・ドットコム』 [評者]長谷川町蔵
雪舟えま『パラダイスィー8』 [評者]少年アヤ
千早茜『人形たちの白昼夢』 [評者]彩瀬まる
エンリーケ・ビラ=マタス/木村榮一=訳『パリに終わりはこない』 [評者]柳原孝敦
工藤庸子・蓮實重彦『〈淫靡さ〉について』 [評者]片岡大右
レベッカ・ソルニット/東辻賢治郎=訳『ウォークス 歩くことの精神史』 [評者]いぬのせなか座

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